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東京都文京区に「日本の技術をいのちのために委員会」の事務局はある。医療機器関係とあってやや身構えての訪問だったが、理事・事務局長の日吉和彦さんは、穏やかな表情で迎え入れてくれた。「日本の技術をいのちのために委員会」は、命のための技術開発を、より強く進める為に発足したものだ。日本が持っている技術への情熱を医療の分野へ広げ、人の命を救う「希望」をつくり出したいとの熱い思いがある。

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日吉さんは元々、多角化事業を展開している大手企業に勤務していた。高分子研究の分野に携わっていたが、ある日突然、思いもよらない社内の研究費を管理する仕事を任された。以来、管理の為にありとあらゆる分野の事業、技術の勉強をすることとなる。その後、医療機器を専門に携わることになったのは50歳を過ぎた頃だったそうだ。
「はじめは大変でしたよ。技術の事は分かっても薬事法のことを全然知らなくて。どんな医療機器を開発したら喜ばれるかを分かっても、医療機器業界のビジネスの事が分からなかった」

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異業種から医療機器産業に入る苦労を、日吉さんは身をもって体験した。そのため医療機器産業だけに関わってきた人では、なかなか気づけない業界参入の苦労を、外からの目線で伝え自らの言葉で説明することができる希有な方だ。

 

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「日本のモノづくりの技術レベルは高い。その高度な技術が中小企業の中にあるというのが日本の特色なんですよ。実は医療機器はモノづくり力のある中小企業が、一番力を発揮出来る分野なんです」
医療機器は1つの製品が大量に売れる事は殆どない。高い技術力を持ち、尚かつ小さいロットで対応出来るフットワークの軽さが求められる。大量生産に馴れた大企業では難しい。だからこそ高度な技術力を持つ日本の中小企業に向いているという。

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「しかも医療機器産業は中小企業なのに、自社ブランドを持ちやすい唯一の産業なんです」
自社ブランドとして世界に配給し、人の命を救う「希望」の種をまく。やりがいのある魅力的な産業なのだ。

 

「ただしキラリと光る技術がないとダメですよ。この技術では他には絶対に負けません!とはっきりと言えるものがなければ出来ません」
世界に誇れる技術を持っている自負のある会社でないとダメだという、厳しいこの言葉には命に関わる産業を担う責任感も伺える。そこには、日本で作った医療機器は安心だという世界規模の信頼を得たいという強い思いがある。不景気で仕事が減ったから、何となく医療機器に参入したいという中途半端な思いで成功するほど甘い世界ではないのだ。

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「日本の技術をいのちのために委員会」では、医療機器分野への新規参入を促す運動をしている。
とは言え、実際のところは興味があっても、なかなか一歩を踏み出せない中小企業が多いのが現状だ。
そこで日吉さんは自らの経験を元にアドバイスをし、不安を取り除く事で一歩を踏み出す勇気を与え、そっと背中を押してあげている。

 

「医療分野だけが特殊という事はありません。他の産業にもそれぞれ特殊があるのと同じなんです。多くの人が医療機器分野は、とにかく法規制が全て怖くて厳しいと思ってしまう。でも、あなたのやりたい事がそれだったら、(法規制をクリアする為に)あなたのやらなきゃいけない事は、たったこれだけですよと教えてあげられるんです」日吉さんの言葉からは、多くの力あるモノづくり中小企業にもっと医療機器分野で活躍して欲しいと、心から願っていることが伝わってくる。

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医療機器はありとあらゆるビジネスの総合産業だという。他に様々な経験をしてきた人の方が良いそうだ。患者とその家族の願い。医師・研究者の熱意。企業の使命感。多くの思いが重なり成り立つ産業だからだ。

 

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二〇一三年四月に東京ビックサイトで開催された、医療機器関係の展示会「MEDTEC Japan」。このMEDTECイノベーション大賞、受賞社さまの映像を弊社で製作させて頂く事になった。
医療関係の映像といえばCGを駆使し商品の説明をする事が一般だ。弊社のような作り手の思いや感性、魅力に特化させ、企業さんのもつ素晴らしい部分を魅せるような、イメージを重視した映像は殆ど見当たらない分野だ。

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「何となく素敵な会社だな。医療機器って素敵だなって感じてもらいたい。どんなスタンスで医療機器に取り組んでおられるかということを伝え信頼関係を構築してから、初めて技術の話しができるんです」
技術的内容ではない為、映像を観たことにより直接仕事が入る事はないだろう。しかし、日吉さんは映像というものを通して、これからの未来への可能性を示したかったのだ。

 

「可能性は未来なんです。そこに懸けるから良いところを褒めるんですよ。そして進歩しつづけないといけないんです」
映像を通して自分たちってこんなに凄いんだよと気づいてもらいたい。自分たちの事を分かってもらう様に語るのが苦手な会社が多い中、自身ではなかなかプロモートできないところを映像を使って宣伝してあげたいと考えたのだ。

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日吉さんは、医療機器とは医療システム全体の事だという。医療機器というものから、医療全体を語れなくてはいけない。それは単に医療機器だけが発展しても患者は救えず、産学民間の連携が大切だということだ。
医療の分野は学者や専門家だけのものではなく、患者さんの心の不安をなくす為の活動や、民間の活動が山のようにある。全く医学の知識のない一般市民が、自分の病気のことを知る事ができ、真意の言葉で知る事が出来る。また学者や研究者も学びを得る事が可能となるような、大きな流れの中にある活動を目指したいという。

 

「自分ひとりでは出来ないけど、あちこちに必要と思ってくれている人が居たら出来るんじゃないかな」
未来へ懸ける力強い気持ちと、人を巻き込む穏やかさで、医療機器の分野に確実に大きな流れが生まれている。
(小高朋子)

 

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-異業種連携からの気付き

東京都文京区に「日本の技術をいのちのために委員会」の事務局はある。医療機器関係とあってやや身構えての訪問だったが、理事・事務局長の日吉和彦さんは、穏やかな表情で迎え入れてくれた。「日本の技術をいのちのために委員会」は、命のための技術開発を、より強く進める為に発足したものだ。日本が持っている技術への情熱を医療の分野へ広げ、人の命を救う「希望」をつくり出したいとの熱い思いがある。

日吉さんは元々、多角化事業を展開している大手企業に勤務していた。高分子研究の分野に携わっていたが、ある日突然、思いもよらない社内の研究費を管理する仕事を任された。以来、管理の為にありとあらゆる分野の事業、技術の勉強をすることとなる。その後、医療機器を専門に携わることになったのは50歳を過ぎた頃だったそうだ。

「はじめは大変でしたよ。技術の事は分かっても薬事法のことを全然知らなくて。どんな医療機器を開発したら喜ばれるかを分かっても、医療機器業界のビジネスの事が分からなかった」

 

異業種から医療機器産業に入る苦労を、日吉さんは身をもって体験した。そのため医療機器産業だけに関わってきた人では、なかなか気づけない業界参入の苦労を、外からの目線で伝え自らの言葉で説明することができる希有な方だ。

 

-誇れる日本の技術を世界の技術へ

「日本のモノづくりの技術レベルは高い。その高度な技術が中小企業の中にあるというのが日本の特色なんですよ。実は医療機器はモノづくり力のある中小企業が、一番力を発揮出来る分野なんです」

医療機器は1つの製品が大量に売れる事は殆どない。高い技術力を持ち、尚かつ小さいロットで対応出来るフットワークの軽さが求められる。大量生産に馴れた大企業では難しい。だからこそ高度な技術力を持つ日本の中小企業に向いているという。

 

「しかも医療機器産業は中小企業なのに、自社ブランドを持ちやすい唯一の産業なんです」

自社ブランドとして世界に配給し、人の命を救う「希望」の種をまく。やりがいのある魅力的な産業なのだ。

 

「ただしキラリと光る技術がないとダメですよ。この技術では他には絶対に負けません!とはっきりと言えるものがなければ出来ません」

世界に誇れる技術を持っている自負のある会社でないとダメだという、厳しいこの言葉には命に関わる産業を担う責任感も伺える。そこには、日本で作った医療機器は安心だという世界規模の信頼を得たいという強い思いがある。不景気で仕事が減ったから、何となく医療機器に参入したいという中途半端な思いで成功するほど甘い世界ではないのだ。

 

-重なる想いをかたちに

「日本の技術をいのちのために委員会」では、医療機器分野への新規参入を促す運動をしている。

とは言え、実際のところは興味があっても、なかなか一歩を踏み出せない中小企業が多いのが現状だ。

そこで日吉さんは自らの経験を元にアドバイスをし、不安を取り除く事で一歩を踏み出す勇気を与え、そっと背中を押してあげている。

 

「医療分野だけが特殊という事はありません。他の産業にもそれぞれ特殊があるのと同じなんです。多くの人が医療機器分野は、とにかく法規制が全て怖くて厳しいと思ってしまう。でも、あなたのやりたい事がそれだったら、(法規制をクリアする為に)あなたのやらなきゃいけない事は、たったこれだけですよと教えてあげられるんです」日吉さんの言葉からは、多くの力あるモノづくり中小企業にもっと医療機器分野で活躍して欲しいと、心から願っていることが伝わってくる。

 

-可能性は未来

二〇一三年四月に東京ビックサイトで開催された、医療機器関係の展示会「MEDTEC Japan」。このMEDTECイノベーション大賞、受賞社さまの映像を弊社で製作させて頂く事になった。

医療関係の映像といえばCGを駆使し商品の説明をする事が一般だ。弊社のような作り手の思いや感性、魅力に特化させ、企業さんのもつ素晴らしい部分を魅せるような、イメージを重視した映像は殆ど見当たらない分野だ。

 

「何となく素敵な会社だな。医療機器って素敵だなって感じてもらいたい。どんなスタンスで医療機器に取り組んでおられるかということを伝え信頼関係を構築してから、初めて技術の話しができるんです」

技術的内容ではない為、映像を観たことにより直接仕事が入る事はないだろう。しかし、日吉さんは映像というものを通して、これからの未来への可能性を示したかったのだ。

 

「可能性は未来なんです。そこに懸けるから良いところを褒めるんですよ。そして進歩しつづけないといけないんです」

映像を通して自分たちってこんなに凄いんだよと気づいてもらいたい。自分たちの事を分かってもらう様に語るのが苦手な会社が多い中、自身ではなかなかプロモートできないところを映像を使って宣伝してあげたいと考えたのだ。

 

日吉さんは、医療機器とは医療システム全体の事だという。医療機器というものから、医療全体を語れなくてはいけない。それは単に医療機器だけが発展しても患者は救えず、産学民間の連携が大切だということだ。

医療の分野は学者や専門家だけのものではなく、患者さんの心の不安をなくす為の活動や、民間の活動が山のようにある。全く医学の知識のない一般市民が、自分の病気のことを知る事ができ、真意の言葉で知る事が出来る。また学者や研究者も学びを得る事が可能となるような、大きな流れの中にある活動を目指したいという。

 

「自分ひとりでは出来ないけど、あちこちに必要と思ってくれている人が居たら出来るんじゃないかな」

未来へ懸ける力強い気持ちと、人を巻き込む穏やかさで、医療機器の分野に確実に大きな流れが生まれている。

(小高朋子)