きりたんぽやいぶりがっこなど、地域ならではのおいしさを感じる事のできる、食の宝庫、秋田県。武家屋敷がずらりと並び、春には桜の名所ともなる角館や、連なる提灯を腰や肩に乗せ、祭り囃子とともに町を練り歩く、東北三大まつりのひとつである「秋田竿燈まつり」など、観光資源も豊かな地域だ。これらを生み出してきた豊かな自然。生命の息吹を感じられる風や、美しい水の流れる音、風の流れでリズムを取る稲穂たち・・・自然が奏でる優雅なメロディは、時の流れさえも変えてしまう。

 

 「先端技術」や「テクノロジー」といった言葉とはほど遠いイメージを持つ、秋田の自然美。だが、精密機械の製造や、熟練された研磨技術など、特色ある企業たちが数多く存在する地域でもある。

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 そんな秋田のものづくりを「技術支援と研究開発」という観点から支え、グローバル化する社会で世界に通用する技術で新しい扉を開く「秋田県工業技術センター」。素形材プロセス開発部長を務める赤上陽一工学博士は、技術開発と、産業の未来の展望と、常に向き合っている。

 

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 秋田県の人口をグラフに表すと、まるでオードリー・ヘップバーンのウエストのくびれのように、20代から30代の人口が他の年代よりも明らかに少ないという。
 「若者がいないという事は、日本の雇用に対しても、ジャブのように後から後から効いてくる。今までの北東北、秋田とか青森とか岩手は、優秀な若者を中央圏に供給していたじゃないですか。そのような人が秋田にいないっていう事は、この東北で生まれた素晴らしき若者たちを供給できないっていう事ですね。」
 それに加え、他県で暮らす若者たちの中には、帰郷を望むも叶わないという現状があるという。
 「勤める場所がないというだけでなく。自分で企業を興そうとする若者が少ない。」
 実際には、高度な技術を持つ企業が多い地域ではあるが、それを知る若者は少ない。その事実を伝えることや、今ある企業の成長を支援すること、自分たちの世代が頑張らなきゃいけないと強く感じているという。

 

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 精巧なものづくりの技術を持った企業たちが、新たに参入障壁のある医療の世界へ新規参入するなど、これまでの技術を活かし、新しい産業を生み出す上で必要なこととは?
 「お医者さんや機械を使っている看護師さんから、医療現場の困り事を聞き出し、不具合箇所を知っている人たちに技術を持ってお役に立てる事がないでしょうか?っていうようにマッチングをすることで、新しい技術が融合できればいいでね。」
 今までは、必要とされている技術と、それを可能とする企業とのマッチングが噛み合ないことばかりだったそうだ。

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 組むべき相手を知ることで、参入障壁を減らし、新たな産業を生み出すきっかけになると、強く感じている。

 

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 赤上先生が発見した「電界砥粒制御技術」と呼ばれる技術。電界を与えて、流体を動かしその配置を制御する技術。この技術は研磨技術に応用した。
 「私たちのメディカル研究会でお医者さんを呼んで、実はこういう技術を持っているんですよって話をしたら、お医者さんが飛びついてきたんですよ。それは時間のかかる抗原抗体反応に使えるんじゃないかと。」
 手術中に患者さんの細胞や組織を取り出し、染色して、がん化している箇所を病理医が見つけ、手術方法を執刀医に告げる「あたらしい染色技術」。従来の技術では叶わなかった時間や高度な品位を実現した。
 「やっぱりあきらめないってことですね。最初はなかなか撹拌できなかったんですよ。」
 撹拌は基盤技術であるという認識を持ち、誰もがなし得なかった可能性を見出すために尽力している。この技術を用いた装置の開発を、県内企業と共に行い、来年四月に販売を予定している。
 「次は横展開ですよね。だからそういったマッチングがさらに必要ですね、部品だけじゃなくて、それを3つ組み合わさったらどうなるのかっていう事を想像できるような人がいないといけないんでしょうね。」
 人と技術と出会う場、その3つがそろうことが最低条件。
 「その時にもう1つキーワードになるのは、誰かの為に役に立ちたいという利他的なこころがないと、新たに作れども役に立たない事になってしまうわけです。そこがベースにないとね、提供する人と使う人が同じ価値を共有しないと、おそらく成功しないんだと思いますね。人に感謝されるようなものであれば、皆、手弁当でもやろうとするんじゃないか。医療機器っていうのは、そういうのが根本的にあると思いますよ。患者さんの為に役立つ機械」
 日本のものづくりは三方よし、利他的な精神で発展し続けて来た。これからの日本にも、この日本人ならではの感覚が必要だ。

 「我々の技術も、他の人たちが誰もやっていません、世界でトップだと思うんですよ。この地にも若い子たちが興味を持って頂けるようなジャンルがまだまだあるぞっていうことを、見せていかない

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といけないんじゃないかなと。」
新薬の開発時間の短縮化を図るなどに使えないかなと期待は膨らむばかりだ。

 

 「雇用の前には事業創出があるんですけど、私達の世代で、1つでも2つでも出さないといけないなと思っています。そして、秋田に戻りたい若者を呼びよせる展開をしないといけないね。」
 企業と連携をし、具現化させ、雇用へと結ぶ。「電界砥粒制御技術」は、技術の進化だけではない、新たな希望を背負った期待の星のようにも思える。

 きりたんぽやいぶりがっこなど、地域ならではのおいしさを感じる事のできる、食の宝庫、秋田県。武家屋敷がずらりと並び、春には桜の名所ともなる角館や、連なる提灯を腰や肩に乗せ、祭り囃子とともに町を練り歩く、東北三大まつりのひとつである「秋田竿燈まつり」など、観光資源も豊かな地域だ。これらを生み出してきた豊かな自然。生命の息吹を感じられる風や、美しい水の流れる音、風の流れでリズムを取る稲穂たち・・・自然が奏でる優雅なメロディは、時の流れさえも変えてしまう。

 

 「先端技術」や「テクノロジー」といった言葉とはほど遠いイメージを持つ、秋田の自然美。だが、精密機械の製造や、熟練された研磨技術など、特色ある企業たちが数多く存在する地域でもある。

 

 そんな秋田のものづくりを「技術支援と研究開発」という観点から支え、グローバル化する社会で世界に通用する技術で新しい扉を開く「秋田県工業技術センター」。素形材プロセス開発部長を務める赤上陽一工学博士は、技術開発と、産業の未来の展望と、常に向き合っている。

 

-秋田県の雇用の現状から

-感じた危機感

 秋田県の人口をグラフに表すと、まるでオードリー・ヘップバーンのウエストのくびれのように、20代から30代の人口が他の年代よりも明らかに少ないという。

 「若者がいないという事は、日本の雇用に対しても、ジャブのように後から後から効いてくる。今までの北東北、秋田とか青森とか岩手は、優秀な若者を中央圏に供給していたじゃないですか。そのような人が秋田にいないっていう事は、この東北で生まれた素晴らしき若者たちを供給できないっていう事ですね。」

 それに加え、他県で暮らす若者たちの中には、帰郷を望むも叶わないという現状があるという。

 「勤める場所がないというだけでなく。自分で企業を興そうとする若者が少ない。」

 実際には、高度な技術を持つ企業が多い地域ではあるが、それを知る若者は少ない。その事実を伝えることや、今ある企業の成長を支援すること、自分たちの世代が頑張らなきゃいけないと強く感じているという。

 

-マッチングの力

-参入障壁を減らすために

 精巧なものづくりの技術を持った企業たちが、新たに参入障壁のある医療の世界へ新規参入するなど、これまでの技術を活かし、新しい産業を生み出す上で必要なこととは?

 「お医者さんや機械を使っている看護師さんから、医療現場の困り事を聞き出し、不具合箇所を知っている人たちに技術を持ってお役に立てる事がないでしょうか?っていうようにマッチングをすることで、新しい技術が融合できればいいでね。」

 今までは、必要とされている技術と、それを可能とする企業とのマッチングが噛み合ないことばかりだったそうだ。

 

 組むべき相手を知ることで、参入障壁を減らし、新たな産業を生み出すきっかけになると、強く感じている。

 

-最先端技術が見出す可能性

 赤上先生が発見した「電界砥粒制御技術」と呼ばれる技術。電界を与えて、流体を動かしその配置を制御する技術。この技術は研磨技術に応用した。

 「私たちのメディカル研究会でお医者さんを呼んで、実はこういう技術を持っているんですよって話をしたら、お医者さんが飛びついてきたんですよ。それは時間のかかる抗原抗体反応に使えるんじゃないかと。」

 手術中に患者さんの細胞や組織を取り出し、染色して、がん化している箇所を病理医が見つけ、手術方法を執刀医に告げる「あたらしい染色技術」。従来の技術では叶わなかった時間や高度な品位を実現した。

 「やっぱりあきらめないってことですね。最初はなかなか撹拌できなかったんですよ。」

 撹拌は基盤技術であるという認識を持ち、誰もがなし得なかった可能性を見出すために尽力している。この技術を用いた装置の開発を、県内企業と共に行い、来年四月に販売を予定している。

 「次は横展開ですよね。だからそういったマッチングがさらに必要ですね、部品だけじゃなくて、それを3つ組み合わさったらどうなるのかっていう事を想像できるような人がいないといけないんでしょうね。」

 人と技術と出会う場、その3つがそろうことが最低条件。

 「その時にもう1つキーワードになるのは、誰かの為に役に立ちたいという利他的なこころがないと、新たに作れども役に立たない事になってしまうわけです。そこがベースにないとね、提供する人と使う人が同じ価値を共有しないと、おそらく成功しないんだと思いますね。人に感謝されるようなものであれば、皆、手弁当でもやろうとするんじゃないか。医療機器っていうのは、そういうのが根本的にあると思いますよ。患者さんの為に役立つ機械」

 日本のものづくりは三方よし、利他的な精神で発展し続けて来た。これからの日本にも、この日本人ならではの感覚が必要だ。

 「我々の技術も、他の人たちが誰もやっていません、世界でトップだと思うんですよ。この地にも若い子たちが興味を持って頂けるようなジャンルがまだまだあるぞっていうことを、見せていかないといけないんじゃないかなと。」

新薬の開発時間の短縮化を図るなどに使えないかなと期待は膨らむばかりだ。

 

 「雇用の前には事業創出があるんですけど、私達の世代で、1つでも2つでも出さないといけないなと思っています。そして、秋田に戻りたい若者を呼びよせる展開をしないといけないね。」

 企業と連携をし、具現化させ、雇用へと結ぶ。「電界砥粒制御技術」は、技術の進化だけではない、新たな希望を背負った期待の星のようにも思える。